人生、出会いがあれば別れがあります。
于武陵(う・ぶりょう)というひとが書いた「勧酒」という漢詩に出てくる一文を、かの偉大なる井伏鱒二先生は「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」と訳しました。
秀逸な訳だということで今でも語り継がれています。
つまり、長く生きていればそのぶんだけ「サヨナラ」の数が増えていきます。
そこで今回は、「アラサーが体験した衝撃的な別れ」をご紹介していきたいと思います。
1.いびきがうるさいから
なにを隠そうこれは私の体験なのですが、ある日突然彼女と連絡がとれなくなりました。
最後にあった日は確かに若干険悪で、どちらも決断力と決定打に欠けて夕飯を食べるお店がみつからない。
どこかに散歩でもと思って出かけたのにもかかわらず、とくに目的も見出せない。そんなデートの直後でした。
1週間後、LINEが送られてきました。
長文なのですが、要約するとこういうことでした。
「いびきがうるさい」
以上です。私のいびきはこどものころからの体質なので、残す手段は手術しかないのですが、耳鼻科医からは「手術したところ治る保証はない」と言われました。
私はどうすればいいのでしょうか?
鼻と喉の奥を摘出し、何か新しい方法で呼吸をしなければならないのでしょうか?
2.やっぱり好きじゃないから
大学を卒業したあたりから同棲を始め、そろそろ結婚するだろうと周りの誰もが考えていた友人カップルがいました。
が、同棲10年目にして別れてしまいました。
その理由は彼氏の方から「やっぱり好きじゃない」という一言で、彼女が振られてしまったとのこと……。
シンプルかつピュアな別れたい理由ですが、その方がよりショックが大きいような気がします。
3.酔っ払っていたから覚えていない
お酒を飲むのが好きな友人女性がいました。
彼女は酒豪&酒乱気味で、一緒に飲みに行くと、毎回必ずふらふらになるまでお酒を飲むほどでした。
そんな彼女が彼氏とお酒を飲み、翌朝起きたら跡形もなく彼氏が荷物ごといなくなっていたそうです。
彼女に理由を聞いてみると、なんとなく喧嘩みたいな感じになったのは朧げながら覚えているらしいのですが、決定的な理由が何も思い出せないとのこと。
喧嘩の理由、彼が別れを決意した決定的な理由が絶対に存在するはずなのですが、いっさい覚えていないと……。
残されたのは彼女自身と二日酔いのどんよりとした不快感。そ
れ以来、彼氏とはまったく連絡がとれなくなってしまったようです。
お酒はほどほどにしましょう。
4.借金の返済を迫ったから
これは友人男性のエピソードなのですが、彼は当時いわゆる「ワーキングプア」状態の彼女と付き合っていました。
順調に付き合っていたと思ったある日のこと、彼女に借金があることが発覚。
ものすごく大きな借金があったわけではないらしかったのですが、なんとなく足りない生活費を少しずつ社費者金融から借金をしているような、割とぎりぎりの状態でした。
「恋人にお金を貸すと関係性が変わってしまうのではないか?」そう思った彼は、ちょっと様子を見ることに。
それからしばらく経ったある日、「家賃が払えない……」と彼女からSOSが。
もうこれは仕方がないと家賃を立て替えたらしいのです。
その数週間後、彼女の家で彼女の帰りを待っていたらなんとタクシーで帰宅。
立て替えたお金がまだ返ってきてなかったので、順番がちがうだろうと。
彼女に返済を伺ってみると……。
「じゃあ別れる」
そしてそれっきり。
彼は何度も話し合ったらしいのですが、彼女の意思は変わらなかったそうです。
なんとも理不尽な話。
好きな人にお金を貸すときは「あげるつもり」でないといけない。
彼は悲しそうな顔で語っていました。
さいごに
冒頭にご紹介した井伏鱒二の「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」という一文だけを聞くと、何か別れが自然にやってくるような、生きていくうえで仕方なく発生するようなニュアンスを私は感じ取っていましたが、別れは明らかに誰かによってクリエイトされていることがわかります。
一方的に別れを告げられた当初は、
「何か悪いことをしたのだろうか?」
「怒らせてしまったのだろうか?」
と疑心暗鬼や自己嫌悪に陥るかもしれませんが、よく考えてみてください。
あなたはそんなに悪くありません。
そんなめちゃくちゃな別れをきりだしてくるひとは、あなたにとっていなくなってもいい人なんですよ。
(吉田ヨシヲ/ライター)
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