頼んでもいないのに恋愛指南をしてきたり、「そんなんじゃモテないよー」と上から目線でアドバイスしてきたりする人っていますよね。
今回は、そんな「自称恋愛マスター」の男性社員・坂口さん(仮名・40代)に苦しめられた女性社員・かおりさん(仮名・30歳)が、「自称恋愛マスター」を、もう二度と恋愛を語れないように黙らせた体験談をご紹介していきます。
前編では、かおりさんと、派遣事務の宮下さんが、自称恋愛マスターの口撃に耐えてきた実情をご紹介しました。後半ではいよいよ、ふたりの反撃が始まります。
自称恋愛マスターの上司。黙らせるためには?
坂口さんは、既婚者でしたが、私にはよく「合コンに呼んでほしい」と言っていました。
独身の私からすると、合コンにいる既婚者ほど迷惑な存在は他にありません。「誰かいい人いないの? 紹介してくれない? 僕、ちょっと前に女子大生と付き合ってたんだよね。若い子を喜ばせる方法も知ってるし、いいとこに連れてくよ」なんて不気味なアピールもしていました。
しかし、私は半笑いでそういった寝言に付き合うことしかできませんでした。
なぜなら、彼は私の上司であり、私の仕事ぶりを査定するのは彼だったからです。
権力関係ゆえに長らく黙ってきたのですが、派遣で私よりも立場が弱い宮下さんにまでセクハラ発言を繰り返していると知り、黙っていられなくなりました。
宮下さんは私に相談する前に、「恋愛の話をするのは不適切なのでやめてください」と直接言おうと思ったそうです。
でも、契約更新をしてもらえなくなると思うと、言い出せなくなってしまった、というのです。
人事に相談。思わぬ結果に
宮下さんの気持ちは痛いほどわかりました。
自分のキャリアを左右する上司に楯突くのはリスキーです。
でも、何か行動を起こさなければ、この先何年も、「女子力低いなあ」「誰か紹介して」「恋愛っていうのはさあ」といった戯言と付き合う羽目になるのでした。
それだけは嫌でした。
私は宮下さんと相談し、人事に洗いざらい話すことを決意しました。
とはいっても、うちの会社はコンプラ意識の高い会社ではありませんから、真面目に取り合ってもらえるかは不安なところでした。
しかし、意外にも、セクハラ発言が続いていることや、宮下さんが一対一でランチに誘われて困っていることなどを人事に相談したところ、すぐに対処すると請け合ってもらえました。
人事が動いたのは翌週でした。
なんと、全社員に、「上司は部下を一対一のランチに誘っていはいけない」というお触れを出してくれたのです。
誰を問題視しているかは書かれていませんでしたが、職場にいたほとんどの人は、坂口さんの行動が疑問視されているのだと気づきました。
当然、坂口さんも気づいていました。
坂口さんは、目に見えて落ち込み、それ以来、恋愛談義をふっかけてくることはなくなりました。
どうやら坂口さんは、本気で、宮下さんが彼と一緒にランチにいって恋愛話をすることを「楽しんでいる」と思っていたようです。
人事に密告されたという事実は、彼の「面白くて恋愛話もできる上司」という自己像を粉々に打ち砕いたのでした。
しょげかえる坂口さんを見て、少し胸が痛む……なんてことはありませんでした。
仕事に関係のない話に付き合わされることがなくなって、せいせいしています。
(今来 今/ライター)
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