最近、みなさんどんな映画を見ましたか。多くの映画はサクセスストーリーであったり、最終的にはハッピーエンドを迎えたりする話が多いですよね。
映画だけではなく、小説やマンガ、アニメも同様でしょうか。
というのも、ハッピーエンドの作品ってみていて楽しいのですが――。最近お決まりの展開で、ちょっとウンザリしている。
もっと心にグサッとするような、衝撃的な作品が見たい! そんな気分になることもあるのでは?
今回は、そんな気持ちになったとき見てみたい。なぜか癖になる後味悪い映画を集めてみましたので、ご紹介します。
『ミスト』
ミストというタイトルにもあるように、霧が大きく関係してきます。物語の冒頭はこう――。湖のほとりに住む主人公デヴィットと、息子ビリーがスーパーで買い物に出かけますが、店内がざわつき始めたころには、外に濃い霧が発生している。
霧の中から店内に逃げてきた人は、「霧のなかに何かいる」と、その“何か”に襲われた事態に、店内はパニック状態になります。店内のなかには、霧のなかにいる何かを信用しない人もいますが、店の倉庫では巨大なタコが現れたり、飛行する巨大な昆虫に店が襲われたりと、物語は緊迫した雰囲気を迎えます。
その途中、霧のなかの何かを「神の裁き」と訴える人が現れたり、店内は巨大な生物の出現以上に怖い、窮地に立たされた人間の怖さも目の当たりにすることに……。多くの話はスーパーマーケットの中で進みますが、物語の終盤では主人公と息子ほかが店内から逃げ出し、霧のないところへ避難します。
ところが、どこまで行っても霧は晴れることなく、車のガソリンも尽きてしまう。巨大生物に襲われる前に、自分たちで命を絶つ選択を取りますが、主人公だけは銃の玉が足りず、巨大生物に食べられようと、車から出ますが――。
ラストの予想外の衝撃さは、否応でも印象に残ると思います。思いがけない結末に、「えっ?」と虚無感を味わうかもしれません。
人間の集団的な心理の怖さなど、単にパニック映画だけに終わらないところが、映画を見た人の心に深い“何か”を残すのではないでしょうか。
『パンズ・ラビリンス』
幻想的でキレイな作品です。あらすじは、スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリアが主人公。妊娠中の母親の再婚相手である、独裁政権軍の大尉のヴィダルに引き取られますが、彼は生まれてくる子のことだけ気に掛け、母親もまた大尉を気に掛けるだけで、オフェリアのことは構えません。
そんな状態に苦しさを感じてきたオフェリアは、現実逃避をするように夢と現実を行き来するようになります。
ここでいう夢の世界は、実はオフィリアは地下の国のモアナ王女であり、その番人であるパンが、オフィリアを「地下の王国に迎えたい」と声をかけに来るのです。
しかし、完全に人間になってしまっていないか確かめるため、三つの試練を彼女に課します。
この三つの試練とは、たとえば生まれてくる弟の血が必要だと、殺すわけではなく、「少しの血が必要だから」と、短剣で弟に傷をつけようとオフィリア。ところが、その光景を新たな父親である大尉が見ていて――。
リアルの世界では、オフィリア=子どもの悪戯に見られてしまう光景と、オフィリア自身は、リアルから夢の世界に救いを求め出す光景に、見ている側はなんとも言えない気分に心が苦しくなります。
彼女の現実逃避の夢物語といえば、表現は簡単になってしまいますが……。そのひと言では片付けられない話の展開に、見ている側に「(オフィリアにとっての)幸せとは何か?」を考えさせられる結末になっているのではないでしょうか。
おわりに
どちらも後味悪い映画ですが、一度見てみると、バッドエンドの映画の魅力が少しわかるかもしれません。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
(柚木深つばさ/ライター)
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