カワウソ祭です! 「カナウ」では先日、七嶋ナオさんと一緒に人生相談の「マジレスホロスコープ」を連載していました。
カワウソは月に2回お店を借りて「スナックカワウソ」という趣味の催しを開いています。場所を変えながら3年ほど続けていますが、それ以前もスナックやバーでアルバイトをしていました。学生時代も飲み屋で働いていたので、それなりに長くカウンターに立っています。
お客さんから「なんでそんなに働くの? 借金でもあるの?」と不思議がられることもありますが、理由は単純にお酒がめっちゃ好きだから。そして知らない人のことが好きだからです。
過去に働いたどのお店でも素晴らしい出会いがありましたが、今回は全4回に渡り、カワウソが出会った最高な女性をモデルにしたお話を紹介します。
今回のお話|カッコいいナナさんの話
よく働き、おしゃれで、お喋りも楽しく「お姉さま」と呼びたくなる風貌のナナさん。かつて家計を支えながら夫と暮らしていたが、とある出来事を境にバッサリと離婚。ちょっと頼りない、でも憎めない「3B(美容師・バーテン・バンドマン)」的な男の人の魅力とは。そして離婚後のナナさんは、どんな人生を送ろうとしているのか。
カッコいいお姉さまの来店
わぁ~カッコいい! と一目で嬉しくなるような、大人っぽくあか抜けた服装でスナックカワウソに来てくれたのがナナさんです。
服装だけでなく、アクセサリーや髪型も好みがよく出ていて、他人に媚びた感じがないお姉さま。「お酒はほとんど飲めない」というのに、酒場に違和感なく馴染んで、みんなで楽しく喋りまくりました。
いわく、ナナさんは一度結婚していて、数年前に離婚したとのこと。原因は「相手がなんも考えてなかったからですかね」。
何も考えてないとは……?
「元旦那は学生時代からの友達でした。昔から挙動不審で不器用だったけど、髪があった頃はすごく男前で。結婚後、彼はアーティスト寄りのクリエイターだったので、仕事がら自分の作品を売り込む必要があって、普通の会社員みたいに安定した収入はなかったんです。だから私が主に家計を支える期間が長くて……でも、ある日大きなコンクールの受賞候補になったんですよ」 |
もし受賞すれば高額の副賞が授与されます。ナナさんに支えられつつ、コツコツと頑張ってきた仕事が報われるかも! 大はしゃぎした元旦那さんは、ウキウキしながら「いい時計買っちゃおっかな〜」と自分へのご褒美を検索しはじめたというのです。これまでの暮らしを支えてきたナナさんへの感謝ではなく。
「そこでブチーッときましたよね」とナナさん。まあ、そりゃブチーッときますわな。
自分の夢に一生懸命なのは良いことですが、それ以外は何も考えていなかったのか……。その事件を境に「助けてあげよう、支えてあげよう」といった気持ちがスパッと途切れ、サクサクッと離婚に至ったそう。
どうしても「3B」がカワイイ
よく耳にする「付き合いたくない『3B』」といえば、美容師、バーテン、バンドマンです。スナックをやってるカワウソもバーテンみたいなもの。
真面目に働いている側からすれば災難な評価ですが、なぜダメなのかを考えると、沢山の人に会うから気が移るとか、会話が上手でウソに気付きにくいとか、勤務時間や休みが不規則でアリバイ工作が容易とか、建前上「恋人いません」と存在を隠されて、他の異性が寄って来やすいとか……。
なんかスラスラ出てきましたが、他に共通する大きなポイントは「なまじ夢を持っているので魅力があり、ついつい好きになっちゃう」というところではないでしょうか。
ナナさんは「バカな結婚生活だったなと思うけど」と前置きして思い出を語ります。
「まだ結婚する前、彼の部屋へ泊まって、深夜に目を覚ましたんです。彼は起きていて、部屋の隅で小さな明かりを点けて、こちらへ背を向けていました。私を起こさないように、静かに制作作業をしてたんです。彼の布団の中で、彼のぬいぐるみを抱いて、彼の背中を見ていたら、私が起きた気配に気付いたのか、こちらを振り返って、優しく方言で『起きたん?』と言ってくれて。その背中と声の感じは、なんか今でも覚えているんです」 |
エモい!!! この美しい話を聞いて、カワウソは「3B」的な人の良さが詰まってるなぁと感心しました。いわゆる”普通の人”には醸し出せない情緒というか、あはれさというか、なんとも愛おしさを感じさせる体験だなぁ。
そう言うとナナさんは「アーティストも”美術家”で加えれば4Bですよね」と笑っていました。
別れで完成する関係もあるのではないか
さて、離婚って結婚生活の「失敗」なのでしょうか。ナナさんの過去は味わいがあり、キラッと光って彼女の人生を彩っているように感じます。物語の起承転結を楽しむように、元旦那さんとのドラマは離婚で完成したといえるのではないでしょうか。
カワウソにとって結婚と恋愛は対比するものではなく、恋愛という大きな流れの中に結婚という島が浮いているイメージです。島に定住してもいいけど、しがみつく必要もない。ナナさんのように自立していて、仕事を楽しめるタイプの人なら、なおさら永住する島探しを目的にせず、スイスイと泳いでいたっていいと思うのです。
ナナさんの近況を聞くと、「今は抱いてるとよく寝られる男を抱いてますね。あとは、年上の部下とちょっとイイ感じだったりして。でも正直なところ、狙った獲物は撃ち落としてきたんですよ。本気で狙ったら多分イケちゃうから、押すべきか迷ってます」とのこと。
キャーカッコいい! 着たい服を着て、やりたい仕事をして、好きな男を抱き、抱かれる。ナナさんが心のままに望みを叶えていくお姉さんでいてくれれば、周囲の人もきっと勇気づけられる気がします。
(おわり)
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